データから見る「選ばれるクリニック内装」とは
クリニックを初めて開業する先生は、いろいろなことで思い悩まれます。そしてそのうちのひとつとして、「クリニックの内装」があります。
ここではそのような先生のお悩みを解決するべく、「先輩の開業医の先生がたはどんな内装材を選んでいたか」「人気の内装材にはどんな種類があるのか」「人気の内装材が選ばれる理由は?」「人気がない内装材の理由と、導入方法」を取り上げて解説していきます。
目次
どんな内装材が選ばれている? 先輩がたのアンケート結果から見る人気の内装材>
「クリニックの内装材としてどのようなものが選ばれているか」は、大建工業の「
【第3回】クリニック経営者108名に聞いた「開業時に選んだ床・壁・天井材」から知ることができます。
このアンケートでは、「開業医の先生がたが、クリニックの開業にあたって選んだ床材・壁材・天井材」について紹介しています。
これによれば、床材のなかでもっとも人気なのは「フローリング」であり、これが全体の約3割を占めているということでした。
また、「クッションフロア」「塩ビタイルなど」も人気があり、4人に1人~5人に1人がこれを選んでいます。
フローリングは耐久性が高く、清掃もしやすいうえに、デザインのバリエーションも豊富です。また人気の床材であり取り入れる人も多いことから、価格もある程度落ち着いているので、クリニックに導入しやすいのでしょう。
壁材に関しては、全体の半数を超える53.7パーセントが「クロス」を選んでいることがわかります。2位には「塗り壁」「木材」「化粧パネル」が入っていますが、どれも1割程度に過ぎません(クロスの人気の理由などについては後述します)。
天井材に関しても「クロス」が人気で、全体の4割がこれを選んでいます。特筆すべきは「岩綿吸音板」の18.5パーセント(2位)です。この岩綿吸音板とは、火成岩を一度溶かしたのちに急速に冷やして繊維状に加工したものであり、非常に強い吸音性と断熱性を持っているものです。この岩綿吸音板はクリニック以外ではあまり見られることのない天井材です。
また、3位には「塗り天井」が入っています。
出典:大建工業「【第3回】クリニック経営者108名に聞いた「開業時に選んだ床・壁・天井材」
クロスが愛される理由は? どんなクロスがあるのか
クリニックの内装材を考えるうえで、特に注目すべき内装材はやはり「クロス」でしょう。
天井材としても床材としても高い人気を誇るクロスの魅力はどこにあるのでしょうか。
クロスは非常に種類が多く、デザインが多種多様です。値段も比較的落ち着いていて、掃除もしやすく、信頼がおけます。一般家庭にもクリニックにも利用できるクロスは、非常に汎用性が高いのも魅力のうちのひとつだといえるでしょう。
さてこのクロスには、数多くの種類があります。そのなかでも、特にクリニックにとって使いやすいのは以下のようなものでしょう。
・スーパー耐久性(クロス)…クロスの表面に特殊な加工を施したり、内部構造を工夫したりすることで、従来のクロスよりも高い耐久性を発揮するようにと作られたのが「スーパー耐久性(クロス)」です。以前から表面を強化した壁紙はありましたが、スーパー耐久性のクロスはそのさらに6倍もの強さを誇るとされています。
多くの人が出入りするクリニックや、小さいお子さん向けのキッズスペースを用意しているクリニックとは特に相性がよいでしょう。
・抗菌仕様クロス…クリニックは人のけがや病気を診る場所であるため、清潔であることが第一条件です。そのため、抗菌仕様のクロスは非常に相性が良いといえるでしょう。なお現在は、抗菌かつ抗ウイルス機能を持つクロスも販売されています。診察室はもちろん、待合室などにも積極的に採用するとよいでしょう。
・防水および防汚クロス…どれだけこまめに掃除をしていたとしても、水回りやトイレは汚れやすいものです。しかし検尿なども行うことになるクリニックのトイレは、ほかの施設に比べてより清潔さが求められる場所だといえます。
クリニックの水回りには、防水および防汚クロスを採用することをおすすめします。またこれを取り入れることによって、掃除の手間を減らすこともできます。
「吸音性」というキーワードを元に、内装材の特徴を読み解く
上では、「岩綿吸音板」について取り上げて解説してきました。異業種ではあまり用いられない岩綿吸音板がクリニックでよく用いられるのは、岩綿吸音板の高い吸音性がキーとなっているからだと思われます。
クリニックに来る人は、けがをしたり、病気を患っていたりします。このような状況のなかで大きな音は耳に障るものです。また取り扱っている診療科によっても違いがありますが、歯科医院などは「機材の出す音」も決して無視できません。機材の出す音は耳に障るだけではなく、治療への恐怖感を煽るものになってしまいます。
このためクリニックを開業する場合は、異業種で開業する場合よりも、防音・吸音を意識した内装材を選ぶ必要があります。
なお上では主に岩綿吸音板について取り上げましたが、クリニックの内装材として高い人気を誇っているクロスのなかにも、吸音クロスと呼ばれるものがあります。防音・吸音を考える場合は、このようなクロスの導入を視野に入れてもよいでしょう。
木材は不人気? それでも導入するための方法はあります!
一般住宅の内装材として一定の人気を誇る内装材として、「木材」があります。やや古いデータではありますが、平成24年に発表されたデータにおいては、設計士のうちの18パーセント程度が「一般住宅によく使われる壁材」として木材・木質材料を選んでいます。床材に至っては、設計士のうちの40パーセント以上が「無垢材」を選択しています。
対してクリニックの場合、「床材」ではそもそも木材はランキングに入ってきませんし、天井材でも6.5パーセント、もっとも割合が多い壁材でも9.3パーセントに留まっています。
木材での施工は、クロス施工に比べて価格が高くなりがちです。また変色・変形しやすく、傷や汚れがつきやすいというデメリットがあります。
一般住宅の場合はそこで過ごす人の数が限られていますし、変色や傷も一つの「味」として楽しめますが、多くの人が出入りするクリニックではなかなか管理が難しく、敬遠されることが多いといえます。
ただ、木材だけが出せる優しく穏やかな空気はほかの素材では得られないものですし、患者様の緊張感をほぐすという意味で非常に有用なものです。また、調湿効果を期待することができますし、クリニックに求められる防臭作用も期待できます。さらに衝撃を吸収するうえに滑りにくく、「安全な足元」を作るためにも役立ちます。
木材内装はたしかにデメリットはありますが、木材内装ならではのメリットもあるわけです。
木材内装を希望する場合は、専門の業者と特に綿密に打ち合わせをして、不安点を解消してから施工に入ることをおすすめします。私たちフルサポクリニックでももちろん相談を承れます。先生の「こういう内装にしたい」というご希望を最大限生かしたクリニックの内装を提案しますし、「まったく分からないから一からアドバイスをしてほしい」というご希望にもお答えいたします。
医院・クリニックの内装設計ならフルサポクリニックへお任せください。
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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