泌尿器科の内装・設計のポイント
目次
クリニックの内装に求められる要素は、そのクリニックがどのような科であるかによって大きく異なります。
今回はそのなかから、「泌尿器科」を取り上げて、泌尿器科のクリニックの内装工事に求められる要素や、外観~内装のポイントなどについて解説していきます。
泌尿器科のクリニックを開業するうえで知っておきたい重要なポイントとは
「病気(やその悩み)」は、極めて個人的でデリケートなものです。そのなかでも、特に、生殖器官と密接に絡んでくる泌尿器科や、外見上の問題と結び付けられるAGAを取り扱う科はその傾向が顕著です。
クリニックでは防音性やプライバシー性を重要視して内装を組み立てていきますが、泌尿器科のクリニックの場合は、通常のクリニックよりもその点を重視しなければなりません。
泌尿器科のクリニックの内装を考える
上記を踏まえたうえで、「それでは泌尿器科のクリニックの内装はどのようにしていけばよいのか」を考えていきましょう。
泌尿器科のクリニックの内装は、以下の点に注意して組み立てます。
1.患者様同士ができるだけ接触しにくい作りにする
2.防音性が高い診察室にする
3.トイレについては特に注意する
ひとつずつ見ていきます。
1.患者様同士ができるだけ接触しにくい作りにする
泌尿器科のクリニックでは、患者様同士ができるだけ接触しにくい作りにする必要があります。受付での会話が待合室にいる人に聞こえることがないように、受付と待合室の間はできるだけ離しましょう。
また、待合室も広く取り、患者様同士が近い距離で接することがないようにするのも重要です。
ビルで開業する場合、「エレベーターから上がってきたら、すぐに待合室」というような内装になってしまわないように特に注意が必要です。「待っている人が見える状態」「上がってきた人に、自分の顔が見られる状態」は、患者様離れに繋がります。
また、男性と女性、両方をターゲットにしている泌尿器科のクリニックの場合は、男性の待合室と女性の待合室を分けるのが理想的です。可能ならば、男性の患者様と女性の患者様の導線がかちあわないようにしましょう。泌尿器科のクリニックの場合、異性と顔を合わせることに特に強い抵抗を覚える人は決して珍しくはありません。
2.防音性が高い診察室にする
上記と合わせて考えたいのが、「診察室の防音性」です。
「昔クリニックに行ったら、前の人の診察内容が筒抜けになっていた……」「カーテン1枚だけでしか仕切られていない状況だったので、隣の人のデリケートな話がそのまま聞こえてきていたたまれない思いをした」という経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか。
通常のクリニックでもこれはかなり大きなマイナス要因となりますが、泌尿器科のクリニックの場合は特に致命的です。
泌尿器科のクリニックの内装を考えるときには、「診察室の防音性」に気を配らなければなりません。診察室は完全に個室とし(※医療上必要と認められるケースは除く)、防音性の高い壁材を利用することにします。
また、オープン前に、「どれくらいの声量で話したら、扉を閉めた状態でも声が聞こえるか」「声が聞こえる場合、内容ははっきりと聞き取れるのか。それとも、『何かしゃべっていることは分かるが、内容までは聞き取れない』という状態なのか」などを、スタッフで確かめるとより良いでしょう。
3.トイレについては特に注意する
泌尿器科のクリニックの場合、尿検査を実施する可能性は極めて高いといえます。特に初診の場合は、ほとんどのクリニックでこれを実施することになるでしょう。そのため、泌尿器科のクリニックでは、ほかのクリニックに輪をかけて「トイレ」に注意する必要があります。
小さなクリニックであっても、トイレは2つ以上設けましょう。もちろん、それ以上ある方が理想的です。また、個室から直接尿検査のコップなどを検査室に出せるようにしておくと、患者様の羞恥心をフォローできます。
なお、現在は、「排尿量測定システム」と呼ばれる便利な道具もあります。これは、排尿する前の体重と、排尿した後の体重を計ることで、尿の量を測定するものです。患者様の負担を軽減できることはもちろん、スタッフ側もたった1台の端末で多くの患者様の情報を管理できるというメリットがあります。
また、この排尿量測定システムは感染症を予防するという観点からも有効です。
なお泌尿器科のクリニックの内装のデザインですが、これには「正解」はありません。
ただ全体の傾向として、白を貴重とした清潔なデザインのものがよく選ばれています。また、黒や茶色などを積極的に使って、落ち着いた雰囲気に仕上げたいと希望される先生も多く見られます。
反対に、ピンクや緑、水色などのパステルカラーはほとんど使われません。全体として「大人が、落ち着いて過ごせる内装」が好まれています。
クリニックの開業においてもっとも重要なことのひとつとして、「自クリニックを認知してもらう」という点が挙げられます。どれだけ優れた技術を持っているクリニックであっても、「そこにあること」を認知してもらえなければ、足を運ぶ人は少なくなってしまうからです。
ただ、泌尿器科のクリニックの場合は例外です。
泌尿器科のクリニックは、上でも述べたように、非常にデリケートな分野を扱うことになります。「自分が泌尿器科のクリニックに通っていることを知られたくない」という人も多くみられるため、大きな看板で「〇〇泌尿器科クリニック」と打ち出すことは逆にマイナスとなります。
看板を出す場合は、科名を大きく打ち出すことは避けたいものです。また、外観からすぐに「泌尿器科のクリニックであること」が分かるデザインは避けましょう。
なお、ほかのクリニックとは異なり、大きく「ここにクリニックがあること」を打ち出すことはできないため、インターネットを使った宣伝は特に意識してしっかり行っていく必要があります。
泌尿器科のクリニックの外観は、シンプルで飾り気のないスタイルがよく選ばれています。また、プライバシー性の確保を目的として、既存ビルの2階以上のテナントに開業する先生も多くみられるため、この場合はより簡素なデザインを取ることになります。
ビルの2階以上のテナントで開業する場合、そのビルに入る人が泌尿器科のクリニックを訪れる人か、それともほかのところに用事がある人かが分からなくなります。このため、このようなケースでは、窓に「●●泌尿器科クリニック」などのように分かりやすく告知しても、患者様が入りにくさを感じる可能性は低くなるでしょう。
泌尿器科のクリニックは、ほかの科のクリニック以上にプライバシーを重要視しなければなりません。また、「泌尿器科のクリニックに通っていることを知られたくない」「悩みの内容をほかの人に知られたくない」という患者様が多いことを念頭においたうえで、クリニックの内装と外観を考えていく必要があることも意識しておきましょう。
フルサポクリニックでは、豊富な経験と実績を元に、患者様にとっても先生方にとっても理想的な内装デザインを提案していきます。泌尿器科のクリニックの内装デザインを手掛けた経験もありますから、安心してご相談ください。
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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