新築だけじゃない!クリニックの内装リフォームを考える
クリニックを新しく開業するとき、多くの先生は内装にこだわります。しかしクリニックの内装を考えるタイミングは、開業のときだけではありません。開業から時間が経ってからリフォームを行うときにも、内装について考える機会は訪れます。
今回は、リフォームがクリニックにもたらすメリットと、そのやり方について解説していきます。
クリニックの内装のリフォームがもたらすメリットとは
クリニックの内装のリフォームが、クリニックに対してもたらすメリットは下記の5つです。
・居心地が良くなり、明るい印象になる
・スタッフが動きやすくなる
・清潔感・衛生状態が良くなる
・プライバシーを確保しやすくなる
・集患のきっかけになる場合も
それぞれ見ていきましょう。
居心地が良くなり、明るい印象になる
どれだけていねいに手入れをしていても、建物は必ず経年劣化します。現在は汚れにくい壁紙や手入れのしやすい床材も多く出ていますが、それでも時間が経てば壁紙は汚れていくものですし、床材にへこみなどができることもあります。
また、内装の技術や考え方も日進月歩であり、「10年前よりもより過ごしやすい内装デザイン」「患者様にとってより過ごしやすい内装デザイン」が現れます。
そのため、より進化した現在の技術を駆使したリフォームを行うことで、過ごしやすく開放感のある空間を作りやすくなります。
たとえば壁紙を新しくしたり、開き戸を引き戸にしたり、車いすが動きやすいスペースを確保したりするなどの工夫をすることで、まるで新規開業のクリニックと同じような空間に変えられるでしょう。
スタッフが動きやすくなる
クリニックにおいては当然「患者様の動線」が一番意識されるべきですが、同時に、スタッフの動線にも気を配らなければなりません。スタッフが動きやすいクリニックはそれだけ患者様に対しての処置も迅速に行えますし、また事務処理もしやすくなるからです。
「今までは壁で隔てられていた場所を、開閉可能な扉で仕切る」「収納スペースを多く設け、道具や書類を片付けやすくする」などのような工夫をすれば、スタッフの動きやすさは格段に上がります。
また、スタッフの休憩スペースを患者様の待合室から離れたところに作ることで、スタッフがしっかりと休むことができるようになります。しっかりと休憩時間を取ることができれば、休憩後の仕事にもより集中できるようになります。
清潔感・衛生状態が良くなる
壁紙や床材は日々進化しています。たとえば現在リリースされている壁紙のなかには、「抗ウイルス99.9パーセントの壁紙」などがあります。また、抗菌効果のあるものや、抗アレルゲン効果のある壁紙も販売されています。
クリニックはその特性上、多くのウイルスや菌が持ち込まれやすい場所です。そのうえ、抵抗力が低い患者様が訪れる場所であるため、感染症のリスクも高い状態にあります。そのようななかで、このような最新の抗壁紙をリフォームで取り入れることには大きな意味があります。
また、汚れやすく、かつ臭いもこもりやすいトイレは、リフォームすることで格段に美しく衛生的になります。高性能の便座は抗菌効果が高いうえにお手入れもしやすく、非常に清潔です。
プライバシーを確保しやすくなる
クリニックをリフォームをすることで、プライバシーが確保しやすくなるというメリットもあります。「今までカーテンで仕切っているだけだったのを、壁や扉で仕切る間取りにする」というやり方はもちろん、「壁を吸音性・防音性の高いものに変える」といったやり方でも、プライバシーに配慮するクリニックにすることができます。
たとえば、「今までは防音性の高くない壁で診察室を区切っていたが、リフォームで防音性の高い壁にする」などのような方法で、患者様のプライバシーを守ることができます。たとえば現在は、グラスウールと呼ばれる防音素材があります。
これはガラスの繊維で作られたもので、ポリスチレンフォーム(発泡させたポリスチレン樹脂を使った断熱材のことで、一般住宅によく使われる)に比べて3倍以上もの高い吸音性を誇ることで知られています。
また、待合室の椅子の置き方を変更したり、中待合室を設けたりすることでも、「診察内容が聞こえにくい環境」を変えることができます。
集患のきっかけになる場合も
クリニックのリフォームが、集患のきっかけになることもあります。
「30年前に開業したときは周りにライバルとなるクリニック・病院がなくて、いろんな世代の人が訪れていた。しかしここ2年ほどで、来る人の年齢層が60代以上に偏り始めた」というように、開業当時と現在とでは訪れる患者様の層が異なることはよくあります。
特に、「今までは保険診療が圧倒的に多い皮ふ科だったが、ここ2年で美容医療に着手し始めた」などのように、診療の内容が変わった場合はこの傾向が顕著です。
このような場合は、当然「今の(そしてこれからの)」患者様に合わせたかたちにクリニックをリフォームすることで、より多くの集患ができるようになります。
また、かかりつけ医はともかく、新規の患者様はホームページなどでクリニックの内部を確認することもよくあります。
このようなとき、新しくきれいなクリニックの方が好意的に受け取られるでしょう。
クリニックの内装リフォームを成功させるためのポイントとは
ここからは、クリニックのリフォームを成功させるためのポイントについて見ていきましょう。
自院のターゲット層を考える
上でも軽く触れましたが、「自院のターゲット層を具体的に考えること」は、クリニックのリフォームにおいて非常に重要です。
たとえば、10代以下の子どもをターゲットにする小児科と、50代以降をメインターゲットとする循環器内科では、求められるクリニックのデザインが大きく変わります。
「自院のメイン層に合わせたデザイン」を意識して、リフォームを考えましょう。
何を目的にリフォームを行うかを明確にする
「防音性を高めたい」「スタッフが動きやすいクリニックを作りたい」「汚れが目立つようになってきた壁紙をきれいにしたい」などのように、「何を目的としてリフォームを行うか」を明確にしておくと、リフォームが成功しやすくなります。
もちろん、この目的は複数あってもかまいません。ただその場合でも、まずは1つのメインの目的を定めたうえで、「それにプラスアルファで実現したい目的」を考えるとよいでしょう。
費用の面でもしっかり打ち合わせを行う
リフォームには多くの費用がかかります。どのようなリフォームを行うか、どれくらいの規模のリフォームをするかによって金額は変わってきますし、業者によっても料金に大きな違いがあります。
予算がある場合はそれを事前に業者に伝え、その予算内でできるかどうか、できない場合はどこをカットするのが適当かを打ち合わせしましょう。
また、かかる金額が大きいので、相見積もりをとることも推奨されます。
現在スタッフが抱えている不満などを事前に調査しておく
クリニックは患者様のためにあるものですが、そこで短くない時間を過ごすことになるスタッフの意見も無視できないものです。
そのため、リフォームを行う場合は、スタッフに対して、「今不便に思っているところはないか」をリサーチしておくとよいでしょう。特に休憩室や動線の話は、そこで立ち働くスタッフ当事者ではないと分かりにくい部分です。
しっかりと聞き取りを行い、患者様にとってもスタッフにとってもより良いリフォームにしましょう。
まとめ
リフォームは、集患につながったり、衛生面の改善につながったりするものです。
ただお金もかかるため、事前に「メインターゲットはだれか」「何のためにリフォームを行うか」「費用はどうするか」「現在スタッフが抱えている不満点」をよくリサーチすることが重要です。
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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