歯科医院の内装・デザイン事例3選
だれもが生涯で一度は利用することになるであろう「歯科医院」は、人からみて入りやすいところであることが重要です。
ここでは「歯科医院の内装のポイント」を紹介するとともに、実際の歯科医院の内装とその特長について解説していきます。
歯科医院の内装は「清潔感」「入りやすさ」「暖かみ」が重要
歯科医院の内装を考えるとき、非常に重要となるのが、
・清潔感
・入りやすさ
・暖かみ
です。
それぞれ見ていきましょう。
・清潔感
歯科医院やクリニックは、「実際に清潔であること」も求められますが、「清潔感があること」も求められます。
スタッフが使う部屋と待合室は明確に分けて、患者様が間違って準備室などに入り込まないような作りの内装にしましょう。
また歯科医院は、清掃を怠らずきれいな状態に保っておくことが重要です。そのため、「清掃しやすいデザイン」の内装を心がけると、日々の清掃の手間を減らすことができます。
・入りやすさ
子どものころ、「歯医者は恐いところ」という印象を持っていた人も多いのではないでしょうか。また、「中で何をしているか分からなくて、行きたくないところ」と感じていた人もいるかもしれません。
現在の歯医者はこのような悩みを踏まえて、「入りやすさ」を重視した内装・外観にするところが多いといえます。
窓を大きく設けて解放感を出したり、道路から中の雰囲気を知ることができたりするところも多く見られ、初めての人でも入りやすくなるように工夫するケースが多くなってきているのです。
なお、この「入りやすさ」と「プライバシー性の高さ」は両立します。たとえば窓を大きくとっていても、イスの前に木のパーテーションなどを配置すれば、「外から中の雰囲気は見られるが、待っている人の顔などは見えない」という状態を作り出すことができます。
・暖かみ
歯科医院は、基本的には「年齢や性別を問わず、多くの人が訪れる場所」です(※審美歯科専門など、一部の歯科医院を除く)。
そのため、だれにとっても親しみやすく、暖かみを感じるデザインの内装にすると患者様にとってストレスの少ない空間を作ることができます。
また歯科医院では、患者様は「仰向けになった姿勢」で治療を受けることになります。そのため、治療上必要な場合を除き、照明は間接照明を使うなどして、患者様の負担を減らすことが重要です。
上記を踏まえたうえで、次の章では「実際にある歯科医院の内装と、その特長」について解説していきます。
自然でナチュラルな雰囲気の「ろはす歯科」様
名前も含めて、全体的にナチュラルテイストで仕上がっているのが「ろはす歯科」様です。
緑の木や暖色系の照明を積極的に配置しているのが特徴で、リゾート地のような解放感を味わえるのが大きなポイントです。自然に溢れた演出が心掛けられている歯科医院でもあり、リラックスして施術を受けることができます。お手洗いもその流れをしっかり踏襲していて、一体感のあるデザインに仕上がっています。
また、絵本やおもちゃ、オレンジ色のソファーを置いた比較的広めのキッズスペースも用意しています。大人だけではなく子どもも通う可能性が高い歯科医院だからこそ、このように「子連れでも来院しやすい内装」にすることは重要です。なおろはす歯科様はビルの1階にあり、敷地面積も20坪~30坪で広いとまでは言い難い歯科医院ではありますが、ベビーカーなども無理なく入れるような設計にしています。
このように、「お子さんも、親御さんも一緒に行ける歯科医院」であることを、ろはす歯科様は内装からも潜在的な患者様に伝えています。
ホテルのような歯科、暖かみのあるオレンジカラーの「四ツ橋歯科・矯正歯科クリニック」様
「ろはす歯科」様でも紹介した通り、暖色系(特にオレンジ)は暖かい雰囲気を出すことが得意な色です。ここで取り上げる「四ツ橋歯科・矯正歯科クリニック」様もまた、ベースカラーをオレンジとして、ぬくもりのある歯科医院に仕上げています。
ただ四ツ橋歯科・矯正歯科クリニック様の場合は、そこに「ホテルライク」というキーワードを組み合わせています。ホテルのホスピタリティを踏襲した歯科医院をとの考えの下、廊下も広く取り、調度品を積極的に蹴るようになっています。
また、保険診療エリアと審美歯科エリアは分けて特別診察室を設けていて、用途によって使い分けられるようになっています。
三角トラス構造(部材を用いて作った三角形を組み合わせることで、建物を作っていく方法)で作られた建物なのですが、四ツ橋歯科・矯正歯科クリニック様の面白いところは、この「構造体の面白さ」をそのまま「内装デザインの面白さ」に繋げている点です。あえてこの構造体を見せることで、ほかの歯科医院とは似るところがないい個性的な内装に仕上がっています。照明やロゴマークとの組み合わせも印象的で、非常にオリジナリティに富んだデザインになっているのが、四ツ橋歯科・矯正歯科クリニック様の内装の魅力です。
広いエントランスホールと落ち着いた雰囲気が魅力の「ソエダ歯科診療所」様
大阪市にある「ソエダ歯科診療所」様は、60年以上の歴史を持つ歯科医院です。店舗の移転に伴って新装工事を行いましたが、その長い歴史の過程で育まれてきた「おおらかさ」を表すために、あえて空間に贅沢な余白を作りました。
明るく豪華でゴージャスな雰囲気を持った内装に仕上がった「ソエダ歯科診療所」様ですが、上で紹介したほかの2つの歯科医院様に比べるとやや大人向きで重厚な印象になっています。
ご高齢の方や車いすの方でも利用しやすいようにするために、カウンターの一部はあえて下げてあり、座った状態でも対応できるようになっています。また、今やほとんどすべての歯科医院で取り入れられているスロープは、ノンスリップ材や連続手すりを配することで、より安全に使えるようにしてあります。
やや重厚な印象のあった待合室とは異なり、診察室は明るく解放感のある作りです。窓を大きく配して陽光をよく取り入れられるようにしてあり、照明も明るく清潔感のあるものを利用しています。
なおこのソエダ歯科診療所様の工事では、あえて「もともとの施設にあったガラス看板パネル」を使っています。移転前に一枚いちまい施主様と一緒にこれをはがし、移転後の施設に再設置しました。
まとめ
歯科医院は、だれもが人生で一度は足を運ぶことになるであろう場所です。虫歯は自然治癒しないもの(※ごく初期のものを除く)であるため、治療するためには歯科医院を尋ねる必要があります。
このような性質を持っているため、歯科医院は、「老若男女だれもが足を運びやすい場所」「年齢を問わず、だれもが緊張感なく待てる場所」であることを意識して内装デザインを考えなければなりません。基本的には「親しみやすさや暖かさ」をベースとして内装を考えていくと、失敗が少なくなるでしょう。
私達「フルサポクリニック」では、どんな人でも足を運びやすい歯科医院の内装の提案~施工を行っています。
新規・移転・リフォーム、どのような案件でも、丁寧にヒアリングを行い、対応していきます。「こういう点に困っている」「どんな内装が良いのか分からない」「こんな内装にしたいが、問題はないか?」など、悩み事は何でもご相談ください
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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