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開業前から準備したいクリニックの集患対策について【まとめ】

開業前から準備したいクリニックの集患対策について【まとめ】
クリニックを開業した際に大きな課題となるのが、患者さん集め(以下「集患」)です。
クリニックは開業するより継続することのほうが大変です。クリニックを維持するには売上と利益の確保が不可欠で、そのためには多くの患者さんに来院してもらわなければなりません。
病院勤務医のころは病院側が集患活動をしてくれましたが、自分のクリニックでは院長自身が積極的に取り組まなければなりません。

集患対策は、開業する前から取り組むことができます。というより、開業した後からでは遅いと言うべきかもしれません。
もし開業後に集患対策を行うとしたら、せっかく開業したにも関わらず、集患対策の効果が出るまでは来院者が少ない、または全くいないという事態が生じてしまいかねません。
そのため、集患対策は事前に開業準備の「やることリスト」に組み込んでおくことをおすすめします。

この記事では、開業前の集患対策について、インターネットを使わない一般的な方法と、インターネットを使った方法に分けて解説します。

    目次


 

集患対策は単なる患者さん集めではない

集患対策と聞くと、1人でも多く患者さんを増やすための対策であるとイメージする人が多いでしょう。もちろんその要素もあるのですが、もう1つ重要なことがあります。
それは、「院長がやりたい医療をやるための活動である」ということです。
クリニックの院長になるにあたって、「自分はこういう医療がやりたい」という理念をもって開業したと思います。しかし、その想いを頭の中にとどめたままでは、当然患者さんには伝わりません。
患者さんがクリニックに来るのは、もちろん病気などを治療するためですが、クリニックは自分の開業したもの以外にも地域に複数存在するはずです。病気を治すだけなら、他のクリニックでも事足ります。
そんな中、先々ずっと自分のクリニックに通ってくれる患者さんをつくるためには、「このクリニックでは、こういう医療をやっている」というPRを行う必要があります。「病気を治療したいから」といった需要が、「あの先生に病気を治療してほしいから」というものに変われば、その場所にクリニックを開業したことに意義が生まれます。
そのような需要を形成することができれば、それは周囲にも伝播していき、「あの先生は評判がいいから」といった口コミで患者さんがどんどん増えてくる状態をつくり出すことができるでしょう。
これが集患対策に取り組む最大の目的です。

開業前の集患対策(インターネット以外)

開業前にすることのできる集患対策のうち、まずはインターネットを使わない、一般的な集患対策について確認していきましょう。
まずそのような対策を列挙すると、以下のようになります。
●クリニックの特徴を書いたチラシをつくる
●看板の場所の選定
●広告を出す
●地域の病院へのあいさつ
●あらゆる施設へのあいさつ
●近隣のクリニックへのあいさつ
●スタッフとのミーティング
●開業直前の無料セミナーの開催

1つずつ詳しく見ていきましょう。

クリニックの特徴を書いたチラシをつくる

クリニックの特徴を書いたチラシは、集患対策をする際にとても重要な存在です。
チラシは最も原始的な広告手段の1つです。これだけテクノロジーの発達した現代であっても、私たち人間は、実際に目にし、実際に触れたリアリティのある情報を特に重視しやすいです。そのため、仮に同じ情報なのであれば、HPなどのデジタル上で得たものよりも、チラシなどのリアルな物質で得たものの方が、より効果的に記憶されます。
そのため、チラシを作ることはクリニックの存在を周囲の人に認知してもらうため、欠かすことができない作業なのです。
まずチラシに記載すべき内容は、院長の医療方針です。どのような想いで開業に至ったか、その動機や理念を書いてください。
また、多くの患者さんは、医師の経歴を気にします。出身大学や専門医資格の有無、所属している学会、これまで勤務したことがある病院名、病院での役職名などは明記しておいたほうがよいでしょう。もし地元の大学病院や大規模病院を退職して開業している場合は、その経歴についてもしっかりPRしましょう。クリニックに来る患者さんは、その地域に住んでいる人がほとんどであるため、そのような名の知れた病院名を見れば安心し、好感を持ってくれるようになるはずです。
このような肩書が人の印象の全てを決定するわけではありませんが、最初の印象を形成するうえでは、非常に大きな武器となります。可能な限り記載するようにしましょう。
また、院長が得意とする治療や、積極的に診たい病気についても記載しておきましょう。ただし「こういう病気を持っている患者さんに来院してもらいたい」といった趣旨にしてしまうと厚生労働省の医療広告ガイドラインに抵触してしまう可能性があります。
そのため、チラシに書くのは病名や治療法、薬品名などの紹介にとどめておいてください。病名が書いてあれば、チラシを受け取った人は「この先生はこの病気の治療が得意なんだな」とわかってくれます。

チラシはA4判のもので十分です。伝えたいことが多くある場合は、両方の面を使って印刷してください。
そしてチラシ案が完成したら、大量に印刷する前に一度保健所に確認してもらったほうが良いでしょう。院長が意図せず医療広告ガイドラインに抵触する文言を使っていた場合、保健所の担当者はそれを指摘してくれます。

医療広告ガイドラインには次のように書かれてあります(*1)。

医療に関する広告を行う者は、その責務として、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならない。さらに、広告は患者の受診等を誘引するという目的を有するものの、患者や地域住民等の利用者へ向けた客観的で正確な情報伝達の手段として広告を実施するべきであり、また、医療機関等が自らの意思により行う必要がある。

つまりチラシ上の医療広告は禁止されていません。ガイドラインにしたがったチラシをつくれば、強力な集患ツールになります。

*1:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf

看板の場所の選定

クリニックの看板は、クリニックの敷地内だけでなく、近隣にも設置したほうがよいでしょう。
看板もチラシ同様に地道な方法ではありますが、その分着実な集患効果が見込めます。そのため、クリニックの敷地内にだけ出すのでは、宝の持ち腐れになってしまいます。適切な位置に看板を設置し、十分な集患効果を得られるようにしましょう。
クリニックの看板は、ビルの屋上、電柱、空き地、幹線道路の交差点付近、鉄道や地下鉄の駅などに設置すると効果的です。
開業前に看板の設置場所を選定しておけば、開業後すぐに設置することができます。
とはいえ、看板を設置するには、設置場所の所有者と契約しなければなりませんし、看板を製作しなければなりません。料金や契約期間も場所によって異なります。
そのため、開業する前から準備を始める必要があります。デザインなどを決める必要もあるので、動き出しは早いに越したことはないでしょう。
看板制作は非常に手間がかかる作業なので、素人の力でしっかりしたものを作るのはほぼ不可能に近いです。看板製作は、期間に余裕をもって業者に依頼するようにしましょう。

広告を出す

開業前後は広告が欠かせません。開業前は「開業します」広告、開業直後は「開業しました」広告を出します。
広告の媒体は、新聞、地元経済誌、市区町村の広報紙、地元のフリーペーパーなどになります。
広告効果はチラシと同じようなイメージですが、チラシと違ってその情報の及ぶ範囲が広いです。新聞に挟むことができれば、クリニックが位置する市区町村全体にクリニックの存在をPRすることができます。

地域の病院へのあいさつ

地域の大学病院、大規模病院、中小病院には、早めにあいさつにいきましょう。
病院の医師は入院患者さんを早く退院させたがっています。そのため、退院後のフォローをしてくれるクリニックの情報を知りたがっている勤務医は少なくありません。
病院へのあいさつはのメリットは、共存関係や連携関係を築くことができるクリニックであることをアピールすることにあります。そのため、病院にあいさつに行くときは「患者さんを紹介してください」とお願いするのではなく、「クリニックで対応できない患者さんが現れたら貴院に紹介させてください」と相手にメリットがあるように伝えるとよいでしょう。
病院は入院や手術が必要な患者さんや、高度な検査機器を使った検査が必要な患者さんを増やしたいと考えています。そのため病院の医師は、クリニックから患者さんを紹介されることを歓迎します。反対に、病院で対応するほど重篤でない患者さんがいた場合には、比較的スムーズにクリニックへと紹介してくれるでしょう。
地域に複数の病院がある場合は、開業までの間に可能な限りまわり切るようにしましょう。

あらゆる施設へのあいさつ

病院だけでなく、高齢者施設や介護施設、高齢者向け集合住宅にも、クリニックの開業を知らせましょう。施設の職員は、入居者さんが急変したときに頼ることができるクリニックを確保したがっています。つまり、患者さんを紹介してくれる人たちです。
小児科クリニックを開業するのであれば、小学校にあいさつに行ってもよいでしょう。
整形外科クリニックであれば、地元のスポーツクラブやトレーニングジム、整体院もPRのターゲットになります。
町内会長さんのところにチラシを持っていけば、町内に配布してくれるかもしれません。

近隣のクリニックへのあいさつ

近隣のクリニックが患者さんを紹介してくれることがあります。
たとえば、循環器内科クリニックで患者さんを診たところ、整形外科領域の病気を患っていたとしましょう。このとき、循環器内科クリニックの院長が整形外科クリニックを知っていれば、患者さんに「この整形外科クリニックに行ってみては」と案内してくれるはずです。
近隣のクリニックにあいさつに行くときも、病院へのあいさつと同じように「自分が診ることができない病気が見つかったら、こちらのクリニックを紹介してもよろしいでしょうか」と依頼すると歓迎されるはずです。
実際、クリニック動詞で患者さんを紹介し合うのはとても有効的な手だてです。そうすることで、患者さんも「適切な対応をしてもらえた」という印象をもち、自分のクリニックに対して良い印象を抱いてくれるでしょう。
また、自院と同じ診療科のクリニックでも連携は可能です。たとえば、同じ内科クリニックでも、クリニックの院長によって心臓を得意にしていたり、消化器を得意にしていたりと、専門分野が異なることがあります。その場合、患者さんを紹介しあってWinWinの関係を築くことができます。そして患者さんもより専門性が高いクリニックで診てもらったほうが病気を治すうえでは好都合です。そのため、クリニック同士で患者さんを紹介し合うことで、結果的には二者が得するWinWinどころか、三者が得するWinWinWinの関係を得ることができるようになります。

スタッフとのミーティング

開業が近づくと看護師や事務長、事務職員などを雇用する必要が出てきます。彼ら彼女らとは、これから長い月日をともに頑張っていく仲間となります。そのため、なるべく早めの段階でミーティングを行い、お互いの人となりを確かめあったうえで、業務内容について綿密に打ち合わせをしましょう。
このときチラシがあれば、それを使って院長がやりたい医療をスタッフたちに説明することができます。
患者さんに最初に接するのはスタッフたちです。たとえば、これまで来院したことがない人がクリニックに電話をして腹痛を訴えて「診てもらえますか」と言ってきた場合、電話に出た受付担当者が委員の専門的内容を知らなければ、適切な応対をすることはできません。しっかりミーティングを行い、スタッフ1人ひとりに事業内容を覚え込んでもらう必要があります。
「うちの先生はお腹の治療が専門なので、すぐに来てください」
スタッフ全員、誰が電話を受けてもそのような適切な応対ができるかどうか、それを左右するのがスタッフ力です。適切にミーティングを行い、現場でのスタッフ力を常に高いレベルに保てるようにしていきましょう。

開業直前の無料セミナーの開催

開業が近づいたら、クリニック内で無料のセミナーを開いてもよいでしょう。
待合ロビーに椅子を並べて、町内の人を招待して、院長が病気の解説や治療法を紹介します。
セミナーが終わったら、参加者に院内を案内してください。
セミナーの開催は、開業後も効果があります。
人は行き慣れている場所に安心するものなので、一度でも自院に足を踏み入れてもらえれば、何かあったときに足を運んでくれる率が高まります。

インターネットを使った集患対策

インターネットを使った集患対策
インターネットを使った集患対策を、一般的な集患対策とは別に解説するのは、それだけ重要だからです。
体調が悪くなったらネットで調べることは、多くの人の習慣になっています。そのため、ネットに自院の情報を掲載することは、集患対策を取るうえで欠かすことができません。

ホームページ制作会社とは綿密な打ち合わせを

ホームページはチラシや看板と同じくらい、クリニックの重要集患インフラになっています。そのため、「ホームページがないクリニックには行きたくない」と考えている人がいても不思議ではありません。
また、チラシなどの紙媒体と違って、ホームページは医療情報を大量に掲載できるメリットもあります。病気や治療法、薬の情報だけでなく、自院の検査機器や待合ロビー、クリニックの外観の紹介、院長やスタッフのブログなども載せることができます。
とはいえ、ホームページを自分の力で作るのはなかなかに大変です。普段あまりWEBページ制作に慣れ親しんだことの無い人の場合、それなりの時間をかけたとしても、良いホームページが作るのは難しいでしょう。
そのため、効果的なホームページは制作会社につくってもらうことになるので、早めに業者を探しましょう。ホームページ制作会社は得意領域があるので、クリニックのホームページを手がけたことがあるかどうかを確認するのを忘れないようにしてください。
医療広告ガイドラインを知っている制作会社に依頼するのが理想です。

得意な治療をPRする

ホームページには、院長が得意とする治療について多くの記事を掲載しましょう。。
病気に関する情報が多いほど、閲覧者は「その病気の治療が得意な先生だ」と判断するようになります。
ホームページに掲載する病気解説記事には、症状、原因、治療法、予防法を書き、必要に応じてタグなどを付けることで、関連記事を見ている人が複数記事に飛べるような構造を構築するようにしましょう。

ネット広告を出す

開業前に広告代理店に相談して、ネット広告を出す準備を進めてください。
患者さんがグーグルなどの検索サイトに地域名と病名を入力したら、自院のネット広告が出てくる状態になることが理想です。
広告代理店にも得意分野があり、看板の制作などを得意としている代理店もあれば、ネット広告のほうを得意としている代理店だって存在します。そのうち、どの代理店が良いのかは、どこに着目するかによって変わってきます。
適切なネット広告を出せるよう、業者はしっかり見極めたうえで選ぶようにしましょう。

スマホを使った予約システムを導入する

ネット関連では、スマホを使った予約システムも導入しておきたいところです。
なぜなら、予約しにくいというだけで離れていってしまう患者さんがいるからです。その逆に「スマホで簡単に予約できるから、このクリニックに行こう」と考える患者さんもいます。
IoTが私たちの身の周りで進んで久しいですが、クリニックも、やはりデジタルでの対策が必要不可欠です。スマホを使ったシステム構築をすることは、クリニックを運営していくうえで必ず大きな武器になるでしょう。
スマホを予約などを導入した場合、 当初はさまざまなトラブルが発生するはずです。しかし、開業から数ヶ月ほどで予約のメイン手順がアナログからデジタルになることだって考えられます。そのためスマホ予約システムも、ニーズに応じて柔軟に変更できるものを選んでおきたいものです。
スマホ予約システムの導入は、システム会社に相談することになりますが、電子カルテなどの医療用IT業者が請け負っていることもあります。ぜひ一度相談してみましょう。

まとめ~知らせることが大切~

クリニック経営では、開業から数ヶ月は売上がほとんどありません。なぜなら保険診療の場合、大半の売上の入金は数ヶ月後以降になるからです。
そのため、開業当初からたくさんの患者さんに来院してもらうことが理想です。

開業前の集患対策のカギは、地域の人に新しいクリニックの存在を知ってもらうことです。
大抵の患者さんは、知っているクリニックと知らないクリニックがあったら、知っているクリニックに行きます。
また、大規模病院の医師も、知っているクリニックと知らないクリニックがあったら、知っているクリニックに自分の患者さんを紹介します。
開業前に十分な集患対策を取ったうえで、クリニックの始まりが華々しいものとなるように頑張りましょう。
クリニックの内装・設計に関するご相談はこちら

この記事の著者

フルサポクリニック

フルサポクリニック編集部

関西エリアでのクリニック実績多数!
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
当サイトではクリニックにまつわる設計や内装工事にまつわる記事を随時更新中

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