クリニックの開業資金はいくら必要?科目別の費用目安もご紹介
独立してクリニックを開業する先生方にとって、開業資金の問題は集患と同じくらい大きな課題になるでしょう。
開業資金の具体的な目安がわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、クリニックの開業資金の内訳と、診療科ごとの開業資金の目安をご紹介します。
目次
開業資金の内訳
クリニックの開業資金は初期費用と運転費用で構成されます。
●開業資金=初期費用+運転費用
運転費用は毎月の経費なので、「開業にかかる資金とみなしにくい」と感じるかもしれません。
この記事で運転費用を開業資金の中に含めた理由は、開業したばかりだと来院する患者様の人数が少なく、売り上げが伸び悩む可能性があるからです。
数カ月分の運転費用を開業資金に含めておいた方が、新しいクリニックを安全・安心にスタートさせることができます。
何ヶ月分の運転費用を開業資金に計上すれば良いかは、後ほど解説します。
初期費用の内訳
初期費用には次の費用が含まれます。
●土地と建物を買う場合:土地代、建物代など
●テナントに入る場合:内装工事、照明、空調など
●医療機器:電子カルテや検査機器、設備など
●什器や備品:診察机、椅子、棚、ソファ、電話など
●医師会の入会金
●開業時の広告宣伝費:ホームページ、チラシ、リーフレット、看板など
●消耗品:医薬品、診察券、筆記用など
当然ですが、土地と建物を購入してクリニックを開業する場合、土地と建物の費用が必要になります。ビルのテナントに入る場合はその費用は発生しませんが、内装工事の費用が必要になります。
運転費用の内訳
運転費用には次の費用が含まれます。
●テナントの場合:家賃など
●人件費:院長(経営者)、看護師、事務員の給与
●水道光熱費
運転費用を開業資金に含めるときは、何カ月分を計上するか決めなければなりません。
例えば、開業資金に6カ月分の運転費用を含めておけば、6カ月間無収入でもクリニックを存続させることができます。
クリニックの売上高にあたる診療報酬は、2カ月後に院長(経営者)の銀行口座に振り込まれるため、開業から2カ月はほぼ無収入になります。
開業からしばらくは患者様の来院数が安定しにくく、売上も不安定になりやすいため、運転資金は多めに準備している方が無難です。
運転費用は何カ月分の準備が必要か
では、運転費用は何カ月分を開業資金に組み入れるのが妥当なのでしょうか。
開業資金の額を極力抑えたい場合は、「必ず無収入になる最初の期間」である2カ月分が最低額になります。
しかし開業資金を2カ月分しか計上していないと、開業が遅れた場合や、診療報酬の請求手続きミスが発生した場合、早い段階で資金繰りに苦労することとなります。
院長(経営者)は開業から1年ほど本業に忙殺されるため、そこに資金繰りの業務が発生すると大きな負担となります。
ただ、あまり運転資金を多めに計上すると、開業資金の額が膨らみすぎてしまい、資金調達に苦労するなど開業が遠のいてしまいます。
そこでこの記事では、運転費用の6カ月分を開業資金に計上すると想定して、これ以降計算していきます。
開業資金に必要な費用の目安
開業資金(=初期費用+運転費用)は、土地を買って建物を建てるのか、ビルのテナントに入るのか、検査機器や設備がどれくらい必要か、都市なのか地方なのかなど条件によって大きく異なります。
そのため一概に「クリニックの開業資金はいくら」と提示することはできないのですが、おおよその目安としては、3,000万円〜1億円が必要になります。
この額には、高額な検査機器や設備の費用は含まれていません。購入する場合とリースにする場合では、開業資金に組み込む金額が大きく変化するためです。
「3,000万~1億円」の内訳については、後ほど詳しく解説します。
目安とはいえ、3,000万~1億円では3倍以上の開きがあります。なぜこれほどまでに差が出るのでしょうか。
精神科クリニックは検査機器や設備にお金がかからない上、ビジネスパーソンが多い都市部のビルのテナントで開業できるので、開業資金はかなり抑えることができます。
一方、検査機器や設備にお金がかかる脳神経外科クリニックなどの場合、土地と建物を購入して開業すると費用は一気に跳ね上がるため、診療科によって必要な開業資金には大きく開きがあります。
診療科別の開業資金の額
続いて、主な診療科ごとに、開業資金の額を解説していきます。
ただ診療科別の開業資金といっても、全ての診療科目に共通した費用もあります。
そこで共通費用、診療科目によって必要な費用それぞれをご紹介します。
自身のクリニック開業に必要な資金の目安は、「共通費用+診療科目ごとの費用」で計算ください。
開業資金の共通費用
各診療科に共通する共通費用の目安は、以下の表をご覧ください。
今回、運転費用は6カ月分で計上しています。
初期費用(単位:万円) | |||
---|---|---|---|
「土地・建物を買う場合」または「テナントに入る場合」 | ●土地と建物を買う場合 | 土地代、建物代など | 3,000~6,000 |
●テナントに入る場合 | 内装工事、照明、空調 | 1,000~2,500 | |
●什器や備品 | 診察机、椅子、棚、ソファ、電話など | 200~500 | |
●医師会の入会金 | 200 | ||
●開業用の広告宣伝費 | ホームページ、チラシ、リーフレット、看板 | 200~300 | |
●消耗品 | 医薬品、診察券、筆記用 | 100~200 | |
6カ月分の運転費用(単位:万円) | |||
テナントに入る場合 | 家賃 | 300~600 | |
●人件費 | 院長(経営者)、看護師、事務員の給与 | 1,200~1,500 | |
●水道光熱費 | 90~180 | ||
【総額】土地と建物を買う場合 | 4,990~9,180 | ||
【総額】テナントに入る場合 | 3,290~6,280 |
土地・建物を購入して開業する場合は4,990万~9,180万円、テナントに入る場合は3,290万~6,280万円が共通費用の目安となります。
しかしここには、開業資金の大きな割合を占める医療機器が含まれていません。医療機器の金額は診療科によって大きく異なるため、診療科目別の費用でご紹介します。
診療科目別の開業資金
ここからは診療科目別に必要な開業資金の目安をご紹介します。
診療科目別の開業資金(単位:万円) | |
---|---|
内科 | 2,000 |
小児科 | 1,100 |
整形外科 | 3,000 |
耳鼻咽喉科 | 1,600 |
皮膚科 | 1,400 |
眼科 | 1,300 |
脳神経外科 | 10,000 |
診療科目別に必要な資金の多くは、医療機器の費用です。
医療機器には、一般撮影装置、血球計数CRP測定装置、滅菌器、骨密度測定装置、リハビリ器具、聴力検査室、レーザー、内視鏡装置、眼圧カメラ、MRI・CTなどがあり、院長(経営者)が自身の診療方針と予算を検討しながら選ぶことになります。
脳神経外科クリニックではMRIとCTが必要になるので、費用は桁違いになります。また、整形外科クリニックでもCTを入れると上記の3,000万円では収まらないため、ご注意ください。
上記の医療機器の費用ですが、現金やローンで購入する場合は費用の大半を開業資金に含めなければなりませんが、リースにすれば開業資金に組み込む額は大きく減額できます。
ただリースにすると、数年や十数年の長期間にわたって、毎月の運転費用にリース料が加わるため、利益が出にくい経営状況になってしまいます。
したがって院長(経営者)は、どの医療機器を購入してどの医療機器をリースにするか慎重に検討する必要があります。
まとめ
クリニックを開業する上で、開業資金の調達が課題となる先生方は多いです。
そのため、開業資金の内訳を知った上で、どの項目なら費用を抑えられるか検討することも重要です。
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この記事の著者
フルサポクリニック編集部
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