クリニック・医院の内装で押さえておきたいレイアウトの基本とは
クリニックや医院を設計する際に、大切な課題の一つとしてレイアウトが挙げられます。
診察室や待合室、受付、処置室など各部屋をどのように配置するかによって、クリニックの利便性は大きく異なります。
そこで今回の記事では、クリニックを開業する先生方に注意していただきたい、レイアウトのポイントについて解説していきましょう。
目次
スムーズな動線
来院された患者様とスタッフがストレスを感じない動線づくりは、クリニックの内装レイアウトを考える上で最も重要です。
患者様の動線とスタッフの動線ができるだけ交わらないようにレイアウトすることが理想です。まずは患者様、スタッフが快適と感じられるクリニック内の動線レイアウトについて解説していきましょう。
患者様にとって快適な動線
来院された患者様の一般的な動きを考えてみましょう。
入口(玄関)を通ってまず受付を済ませます。待合室へ移動して診察までの時間を過ごし、順番がくると診察室へ。採血やリハビリが必要であれば、処置室やリハビリ室へと移動します。すべて終了したら、最後に受付で次回予約や会計を済ませて出口(玄関)から帰宅されます。
このように、クリニック内での患者様の移動する機会は意外と多いものです。そのため、動線が頻繁に重なるとストレスを感じる原因となってしまいます。
またクリニックでもっとも混雑するのは受付です。
受付には2つの役割があります。一つ目は保険証の確認、問診票への記入、紹介状の預かり、検温など、来院時の対応です。二つ目は会計と次回予約に関する業務です。
診察や処置が終わったにもかかわらず、会計で待たされることは患者様にとって大きなストレスです。受付のレイアウトを考えるときには、来院時と会計業務を複数の窓口で対応できるような設計が求められます。
スタッフが働きやすい動線
スタッフが働きやすい動線は、患者様が使う通路以外にもう一つ動線を設けるのがおすすめです。
受付から診察室、処置室などへ待合室を通らずに移動できると、スタッフの業務効率は格段に上がります。待合室を通る回数が増えると、患者様からの問い合わせに対応する時間が多くなり、結果として診察終了から会計までの時間が延びてしまうでしょう。
患者様の質問には受付がしっかり対応する体制をつくり、医師や看護師、その他の事務は業務に専念できる動線づくりが大切です。
利用者に合わせた待合室
診療科によってクリニック利用者の傾向は大きく異なります。どのような利用者(患者様)が多いかによって、待合室のレイアウトは工夫することが大切です。
利用者の傾向に合わせた待合室のレイアウトについて解説していきましょう。
高齢者が多い
高齢者の利用が多いクリニックでは、車椅子や杖を使用されている患者様への配慮が欠かせません。車椅子が安全に走行できるだけではなく、方向転換する際にも必要なスペースを確保しましょう。
車椅子の患者様への付き添いやすさを考えると、スタッキングできる簡易的なスツールを準備しておくことがおすすめです。
握りやすい手すりを的確な位置にレイアウトすることはもちろん、椅子にも工夫が必要です。高齢の患者様が立ち上がるときには腕に力を入れやすい椅子が必要です。肘掛けつきのソファやチェアを採用すると患者様の負担が少なくなるでしょう。
子ども連れが多い
小児科や耳鼻咽喉科では、小さなお子さんが待ちやすいレイアウトが重要です。小さなお子さんはハイハイや床に触れることが多いため、待合室は靴を脱ぐタイプがおすすめがおすすめです。
また体調を崩したお子さんを連れているママやパパにとっても、待ちやすい工夫があるとよいでしょう。感染症対策との兼ね合いはありますが、抗菌仕様の素材を使ったキッズスペースがあると、子どもたちの興味を引きつけて待ちやすい環境になります。
やわらかいブロックなどで間仕切りし、ジョイントマットを敷くだけでキッズスペースをクリニックの待合室へレイアウトできます。
プライバシーを守りたい
美容系クリニックや心療内科では、プライバシーを大切にしたい患者様が来院されます。待合室のレイアウトとしては、基本的に患者様同士の視線が合わないようにすることがポイントです。
予約制を採用しているクリニックでは、ゆったりとくつろげる一人掛けのソファを準備してみてはいかがでしょうか。
美容系の施術や心療内科の受診は、他の診療科と比べても緊張される患者様が多い印象です。緩やかに空間を区切りながら癒やし効果も期待できる、大型の観葉植物も人気があります。
保管するものに合わせた収納
クリニックの内装レイアウトを考える際に、忘れてはいけないのが収納です。しかし、やみくもに収納を作ればいいというわけではありません。
患者様やスタッフが使いやすい場所にちょうどいい容量の収納をレイアウトしておくことは、スムーズな動線とクリニックの満足感につながります。クリニックの場所別に収納レイアウトのポイントを解説していきましょう。
受付
電子カルテの運用が進み、紙カルテの保管場所は以前と比べて少なくて済むようになりました。
しかし、依然として受付では毎日たくさんの紙を取り扱っています。保険証のコピー、問診票や紹介状のスキャン、FAXなど、保管が義務づけられている書類もあります。
ファイリングしたものは受付内に収納して、すぐ取り出せると便利です。コピー機やプリンタの側にはコピー用紙置き場、その他の事務用品を片付けるには引き出しを活用しましょう。
受付はクリニックの顔です。適切な量の収納を設けて、整理整頓しやすく散らかりにくい受付を目指すことが大切です。
処置室
処置室では、さまざまな種類の消耗品や備品をすぐ取り出せるように収納することが求められます。
また薬剤などを扱うため、清潔には常に注意を払う必要があります。開業後にどの程度の消耗品や備品、薬剤が必要となるかをあらかじめ想定したうえで、処置室の収納を決めるとミスマッチを防げるでしょう。
受付では見せない収納が重要ですが、処置室では見てすぐ分かる収納をおすすめします。在庫を抱えすぎる、逆に必要な物品がないというアクシデントを防ぐためにも、物品の使用頻度ごとに適宜収納のレイアウトを見直すと効率よくスムーズな処置ができます。
倉庫
忘れてはいけないのがバックヤードへ収納をレイアウトすることです。
紙での保管が義務づけられている書類は、クリニック開業後に膨れ上がります。書類が必要なときにすぐ取り出せるような収納をバックヤードに準備しておかなければ、探すだけで貴重な時間が過ぎていってしまいます。
書類以外では、季節家電や掃除道具もバックヤードに収納したい物品です。毎日の清掃時に掃除機や必要な洗剤がすぐ手に取れなければ、スタッフのモチベーションの低下につながりかねません。
バックヤードの収納も設置するだけではなく、適切に棚などをレイアウトして使い勝手を考えておきましょう。
まとめ
クリニックの内装について、動線の確保や利用者目線、そして収納をレイアウトする際の注意点を解説してきました。
クリニックは必要となる機能や部屋が多く、適切にレイアウトしないと患者様やスタッフの不満につながってしまいます。
開業後のシュミレーションを綿密に重ねることで、適切なレイアウトは見えてきます。
クリニックの内装で悩まれた際には、多数の施工実績があるフルサポクリニックへお気軽にご相談ください。
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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