クリニックのスタッフルームに求められる要素とは
「クリニックの内装」について考えるとき、私たちは真っ先に「患者様がいらっしゃるスペース」のことを思い浮かべます。
ただ、これももちろん重要ではあるのですが、それ以外にも大切なものは多くあります。そしてそのうちのひとつが、「スタッフルーム」です。
ここでは、「クリニックのスタッフルームに求められる要素」「「スタッフルームに入れておくとよい設備」「スタッフルームの広さの目安」などについて解説していきます。
目次
スタッフルームのスタッフルームを考えるときに必要となるスペースとは
まず、「そもそもクリニックのスタッフルームにはどのようなものがあるか」について考えていきましょう。
クリニックのスタッフルームは、大きく分けて、下記のスペースに分けられます。
・従業員用の休憩スペース
・従業員用の着替えスペース
・院長室
この3つの配置について考えていきましょう。
スタッフルームと患者様用のスペースは分ける
クリニックのスタッフルームを考えるうえで非常に重要な点として、「スタッフルームと患者様用のスペースは明確に分ける」ということが挙げられます。
患者様の目に入るところにスタッフルームやスタッフルームに続く通路がある場合、休憩に入っている(あるいは休憩に入ろうとする)スタッフに患者様が声をかけてしまう可能性が高くなります。また、クリニックが混んでいるときに抗体で休憩に入ろうとしたときも、「こんなに混んでいるのに、対応してもらえない」という不満を患者様に抱かせてしまうリスクが高くなります。
スタッフが落ち着いて休憩に入ることができるようにするために、また患者様からのクレーム防止のためにも、スタッフルームと患者様用のスペースはしっかり分けましょう。
従業員用の休憩スペースと従業員用の着替えスペースは分ける
従業員用の休憩スペースと従業員用の着替えスペースは、しっかり分けましょう。休憩スペースと着替えスペースが一体化している場合、休憩をしている人の前で着替えをしなければならない状況になるため、休憩をしている人も着替えをしている人も落ち着きません。
1つの部屋をカーテンなどで区切って使うやり方もありますが、これもやはり人の目線が気になる人が多いといえます。特に男性・女性の両方が勤務するクリニックの場合はなおさらです。
ある程度規模の大きいクリニックの場合、「男性用の着替えスペース」「女性用の着替えスペース」「従業員用の休憩スペース」で分けるのが理想的です。それが難しいもしくは片方の性が大半を占めるクリニックの場合は、「従業員用の着替えスペース」と「従業員用の休憩スペース」で分けるようにします。
それも難しく1部屋しか確保できない場合は、パーテーションや棚などを使って1部屋を分割します。
院長室とスタッフルームも距離をとる
上では「患者様のスペースとスタッフルームを分けることの重要性」を取り上げましたが、院長室とスタッフルームもある程度距離をとった設計にする方が良いでしょう。
院長は、そこで働く従業員にとって「上司」にあたります。もちろん職場で積極的に上司の悪口を言う人はいないかと思われますが、それでも、「上司の部屋がすぐ近くにあること」は従業員に緊張感をもたらします。また、執務室としての役目を院長室に持たせる場合、仕事をするためのスペースである院長室と、休憩をするためのスペースであるスタッフルームが近くにあることは望ましくありません。
なお、従業員の休憩用スペースと院長室は、「採光」を考えて作ることをおすすめします。採光を考えるうえでもっとも重要になってくるのはやはり「窓」ですが、そもそも従業員の休憩用スペースなどは「居室」として取り扱われるため、床面積の7分の1以上のサイズの窓を配置しなければならないという決まりがあることにも留意しておきましょう。
ちなみに更衣室には、基本的には窓は必要ありません。
広さはどれくらいが望ましい?
「スタッフルームにどれくらいの広さが必要か」は、クリニックに務めるスタッフの数によって異なります。ただ、5人などの小規模なクリニックでも7坪程度、もう少し余裕を持たせたいということであれば10坪~15坪は必要です。
「十分な広さを確保したつもりだったが、家具を置いてみたら意外と狭く感じた」ということもよくあるので、広さはしっかり検討しておいた方がよいでしょう。
「どうしてもクリニック内にスタッフルームを設けることができない」ということであれば、ほかのところにスタッフルームを借りる選択肢も考慮に入れる必要があります。ただほかのところにスタッフルームを借りた場合、当然そこからクリニックに移動するまでの時間がかかり、休憩時間が圧迫されてしまう可能性があります。また賃料も発生するため、基本的にはやはりクリニック内にスタッフルームを設けるという考え方の方がよいでしょう。
「広さに余裕がある」「雇っているスタッフの数が多い」という場合は、スタッフ専用のトイレを設けることをおすすめします。クリニックが混んでいるときでも並ぶことなくすぐに用を足すことができるからです。
スタッフルームにあると良いもの、入れておきたいもの
スタッフルームに必須のものとして、「机とイス」があります。食事などに使えるタイプの机を置きます。カフェテーブルよりもある程度高さのあるテーブルの方が使いやすいでしょう。イスは座り心地の良いものを選べればベストです。また、キャップのついているイスを選べば、床が傷つく心配もいりません。
ただ、現在はスタッフルームを畳にするクリニックも見られます。このような場合は背の低いテーブルを用いて、ちゃぶ台のように使うことができます。畳はリラックス効果も強く横になれるのが魅力ですが、足腰の悪いスタッフがいる場合は逆に負担になってしまう可能性もあるので、この点には注意が必要です。
「必須ではないが、できるかぎり入れておきたいもの」として、キッチンスペースが挙げられます。
本格的な料理をするためのスペースまでは必要ありませんが、お茶を作ったりお湯を沸かしたり、お弁当箱を洗えたりするスペースを設けておくと、非常に便利です。また電子レンジや冷蔵庫を置いておくと、さらに喜ばれます。1口しかコンロのないものであっても、キッチンスペースがあるかないかで過ごしやすさは大きく異なるので、特段の事情がない限りは入れるようにしましょう。
スタッフルームに十分な余裕があるということであれば、観葉植物などを置くのもひとつの手です。観葉植物は心を和ませてくれるものであり、香りも強くなく、手入れの手間もそれほどかからないので、スタッフルームに置いておきやすいでしょう。
ただ観葉植物は、机のように必須のものではなく、またキッチンスペースのように設置が強く求められるものでもありません。そのため、あくまで「スペースに余裕があれば置く」というような感覚で問題ありません。
クリニックの内装を考えるとき、「スタッフルーム」はしばしば意識の外側に置かれてしまうものです。しかしスタッフルームを過ごしやすい空間にすることでスタッフはリラックスして過ごすことができるようになりますし、仕事に対するモチベーションもあがります。しっかり作っていきたいものですね。
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この記事の著者
フルサポクリニック編集部
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