調剤薬局の待合室のレイアウトを工夫して快適な空間を作ろう
調剤薬局のなかでも、患者さんがもっとも長い時間を過ごすのが待合室です。
不調を感じて病院やクリニックを受診したあと、また待たなければならない患者さんの気持ちを少しでも緩和できる待合室であれば、患者さんの薬局に対する満足度向上にも大きく貢献することでしょう。
そこで、今回の記事では、調剤薬局の待合室に必要なことを明確にしたうえで、どのようなレイアウトが望ましいのかについて考えていきます。
調剤薬局の待合室とは
クリニックや病院での診察や検査のあとに訪れる調剤薬局では、患者さんは大変疲れていることがほとんどです。
それなのに、処方箋を持ってまた受付を済まして、ようやくひと息つく場所が調剤薬局の待合室ではないでしょうか。
ですから、調剤薬局の待合室は、クリニックや病院以上に患者さんの快適さやリラックスを促す場所である必要があります。
少し余裕がある患者さんは、薬が出来上がるまでのすきま時間を有意義に過ごしたいと考えるでしょう。
そう考えると調剤薬局の待合室は、まず通院での疲れを癒し、薬剤師をはじめとしたスタッフとの良好なコミュニケーションを築く場所でなければいけません。
また、各種資料やパンフレットなどを配置することで、医療に対する理解を深める場としても有効利用できるスペースだといえます。
調剤薬局の待合室に必要とされること
心身の調子が悪く、しかもすでに待ち疲れている患者さんにとって必要とされる待合室とはどのようなものでしょうか。
調剤薬局で患者さんが快適と感じる待合室には、いくつかの特徴があります。
具体的に必要だと考えられる特徴について、解説していきます。
快適な座席と落ち着く空間
調剤薬局の内装トレンドにもなっているように、最近では「落ち着く空間」が一つの大きな要素として捉えられています。
ひと昔前の薬局やクリニックといえば、清潔感が全面に押し出されていました。
しかし今では、薬局ごとのコンセプトやよく利用する患者さんに合わせて、個性あふれるコーディネートがされています。
その結果としてもっとも採用されているのが
- 座り心地の良い椅子
- 落ち着きを感じるカラースキーム
- わかりやすい動線
です。
快適な座席といっても、座る人によって快適だと感じる基準は異なります。
また、カラースキームについては、ベースにアースカラーを取り入れた待合室が増えています。
ぬくもりを感じさせる間接照明や観葉植物などで、待合室にアクセントを付けることも多く見られますね。
プライバシーを守る
薬局の待合室はただ「薬を受け取るのを待つ」場所ではありません。
患者さんによっては、プライバシーを確保した場所で薬を受け取りたいという希望もあるでしょう。
そう考えると、待合室の椅子の配置は他の患者さんからの視線を避ける工夫が必要です。
最近では、椅子をずらりと並べた従来のレイアウトにも変化が見られます。
画一的に椅子を配置するだけではなく、介助が必要な人向け、親子で来局する人向けなど、具体的な患者さんを想定した配置を取り入れることが進んでいます。
そのなかでも、プライバシーを確保したい人向けには、座席を背中合わせにして患者さん同士の視線が合いにくくするという工夫も見られるようになりました。
薬局の待合室という限られたスペースのなかでも、アイデア次第で患者さんのプライバシーを守ることができます。
わかりやすい動線と多様な患者さんへの配慮
薬局の待合室では、わかりやすい動線の確保が大変重要です。
入口から受付へ、そしていったん待合室へ、その後は投薬カウンターへと、比較的狭い空間で移動する必要があるからです。
たとえば、入口から処方箋を渡す受付までの動線がわかりにくかったり、間のびしていたりすると、患者さんはストレスを感じます。
また、目的ごとに動線が分かれていれば、人の動きも遮られることなくスムーズに薬を受け取れるでしょう。
さらに、薬局へはさまざまな患者さんが来局されます。
ベビーカーや車椅子が通れる通路幅が確保されていなければ、患者さんは非常に不便さを感じてしまいます。
清潔さと衛生
手指消毒や適切な換気、空気清浄機の導入なども薬局の待合室にはかかせません。
それぞれのレイアウトにも、お子さんや車椅子の患者さんに合った高さなのか、動線上に衛生用品があって通りにくくないかなど、多様な患者さんへの配慮が望まれます。
調剤薬局の待合室はどのようなレイアウトが望ましい?
調剤薬局の待合室に必要な項目についてくわしく解説してきました。
各項目を考慮しつつ、どのような待合室のレイアウトが最適であるのかについて考えていきましょう。
主な患者さんの層に合わせたレイアウト
待合室のレイアウトを考える際に、先ほどまで述べてきた一般的な項目を満たすことはもちろんです。
しかし、それぞれの調剤薬局によって、主な患者さんの層はおのずと決まってくるため、特化したアイデアも必要になるでしょう。
近隣のクリニックの診療科目が小児科であれば、小さな子どもさん連れ、整形外科であれば松葉杖や車椅子の患者さんが多くなることは簡単に予想できます。
あらかじめ予想される患者さんの層に合わせて、待合室に靴を脱いで上がる小上がりを作るのか、ベビーカー置き場を広く取るのかなど、工夫しておくことが大切です。
広さに合わせたレイアウト
広々とした面積の調剤薬局では、自由なレイアウトを考えながら計画を進められます。
一方、狭い調剤薬局でもアイデア次第で、快適な待合室づくりが可能です。
たとえば、狭い空間では動線がぶつかりがちですが、患者さんの動きが一方通行の回遊動線になるようにレイアウトすれば、スムーズに薬を受け取ってお帰りいただけます。
また、あると便利なキッズコーナーを省かなければならないときには、壁かけテレビで子ども向けのコンテンツを流すなどの工夫も考えられます。
さらに、椅子のレイアウトは背中合わせを採用すれば、プライバシーの確保と場所の節約が同時に実現します。
何を大切にするかを絞り込む
患者さんの層に合わせることとつながりますが、薬局の待合室のレイアウトについて考えるときには薬局全体のコンセプトを大切にしましょう。
いくらおしゃれな内装にしても、レイアウト次第で使い勝手が悪くなり患者さんの満足度の低下にもつながりかねません。
ただでさえ不調を感じて受診した病院やクリニックでつかれた患者さんは、できるだけスムーズにそしてリラックスして薬を受け取りたいと考えています。
行き過ぎた内装デザインではなく、患者さんとスタッフの利便性を第一に待合室のレイアウトを考えることをおすすめします。
まとめ
調剤薬局の待合室のレイアウトは、患者さんの満足度と薬局スタッフの効率性の向上を両立させる必要があります。
快適な座席や空間、プライバシーの確保、わかりやすい動線、さまざまな患者さんへの配慮、清潔さと衛生など、これらの要素を考慮したレイアウトが求められます。
薬局全体のコンセプトやターゲットとする患者層に合わせたレイアウトを、患者さんとスタッフが快適に感じられるように設計することが大切です。
医療機関の現状をよく知っている工務店であれば、決められたスペースで患者さんが満足できる待合室のレイアウトを必ず提案してくれることでしょう。
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この記事の著者
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