クリニックの内装は色で決まる!患者の印象を左右する7色の効果と選び方
クリニックの内装を設計する際、多くの方がまず「スタッフの動線設計」や「清掃性」「患者様が過ごしやすい導線」などの機能面に目を向けることでしょう。これらはいずれも重要な要素です。
しかし、同じくらい重要なのが「内装に用いる色の選定」です。色彩は患者様の心理に大きな影響を与え、クリニックの第一印象そのものを左右します。
では、具体的にどのような色が、どのような印象を与えるのでしょうか。ここでは7つの代表的な色について、特徴や活用方法を解説します。
【白色】クリニックの王道の色、清潔感を表す色
「医療機関といえば、白色」と認識している人も多いのではないでしょうか。
白色は、清潔感や明るさを出すことに長けている色であり、クリニックと非常に相性の良い色です。また汚れが目立ちやすいため、「気づかないうちにほこりが溜まっていたり、壁に汚れがついていたりして、不衛生な状況になっていた」などのリスクを避けられます。
ただ白色は、どうしても無機質な印象や冷たい印象をもたらしてしまいがちなものです。そのため、親しみを出したいのであれば、やや黄色がかった白色を採用するなどの工夫が必要です。
【茶色】小児科などに効果的、優しい雰囲気を演出できる
茶色は「木の温かみ」や「安心感」を連想させ、患者様の緊張を和らげる色として広く用いられています。
このため、小児科などの子どもを対象としたクリニックにおいて非常に有用です。特に、明るいトーンの茶色は子どもたちに安心感を与えるでしょう。
逆に、同じ茶色であっても、黒に近い暗いトーンを選んだ場合は大人に合う落ち着いた印象になります。そのため、美容外科などではこの暗めのトーンの茶色を採用しているところもよく見られます。
【青色】待ち時間の長くなりがちなクリニックで効果的な色でもある
寒色系の代表例である「青色」は、あまり「クリニック」とは結びつかない印象があるかもしれません。しかし壁やイスなどに青色を配したクリニックも存在します。
青色をベースとする場合、青色単色(およびその系統)でクリニック内のすべてを統一することはほとんどなく、ほかの色とかけあわせて使われるケースが一般的です。たとえば、「青い壁に白いカウンター」「白い壁に青のイス」「青い壁をスポットで配置して、それ以外は明るいトーンの茶色」などのような組み合わせがよく見られます。
ただし、過剰に使うと「冷たさ」「無機質さ」が際立ってしまう可能性があるため、白や木目調と組み合わせるなど、配色のバランスを意識するとよいでしょう。
【赤色】個性的で楽しい雰囲気を出せるが、使いどころや濃淡選びが重要
「赤色」はクリニックにおいてはあまり使用されることのない色ですが、まれにこれを採用しているクリニックもあります。赤色は非常にインパクトが強く、個性的で、楽しい雰囲気を出せるため、オリジナリティを打ち出したいクリニックに非常に向いています。
特に深みのあるワインレッド系の赤色は、高級感や落ち着きもあり、内装にもなじみやすい色合いです。一方、明るく鮮やかな赤は刺激が強すぎる場合があるため、アクセントとしての使用が推奨されます。
赤色はその特性上、スポットでの使い方が効果的です。計算をせずに入れてしまうと、「目に痛い内装」「待ち時間が長く感じるクリニック」になってしまうからです。
半面、非常に強いインパクトを残せるため、患者様にとって「忘れられないクリニック」になりやすいというメリットはあります。特に、医療脱毛などを初めとする美容分野を扱うクリニックにとっては、利用価値も高い色です。
【緑色】ウッディで自然派、植物で色を出す場合は管理に注意
緑色は「調和」「リラックス」を表す色です。緊張している人の心をほぐせる色であるうえ、老若男女問わず好まれやすいため、幅広い診療科で使いやすい色といえます。加えて、茶色や白色に比べてオリジナリティも出しやすい色ですから、「個性×安心感」「オリジナリティ×リラックス」をテーマにしたいクリニックにも向いています。
緑色を出すための方法として、まず考えられるのが「植物」でしょう。
壁一面を植物の緑で覆うと、インパクトと個性がありつつも、柔らかな印象に仕上げられます。
ただし植物の場合は手入れが難しいため、非常に注意が必要です。生の植物はもちろん、造花を使った場合であっても、細かくとりにくい部分にほこりが溜まるなどの問題点があります。
手入れの手間をさけたいのであれば、壁やイスに緑色をチョイスするといったやり方がよいでしょう。
【オレンジ色】より柔らかく、アットホームな雰囲気に
アットホームな雰囲気を出すことに長けているオレンジ色は、「親しみやすさ」を出すことが得意な色です。「街のクリニック」「街のかかりつけ医」になることを目標としているクリニックにとっては特に選びやすい色だといえます。
オレンジ色は、クリニックの定番色のひとつである「茶色」とも親和性が高く、オレンジ色×茶色で構成されたクリニックも少なくありません。またオレンジ色は照明で調整しやすいので、後からでも色味がある程度調整できるのもメリットです。明るいオレンジ色にしても濃いオレンジ色にしても、とがった印象を抱かせることがほとんどないのも選びやすいポイントです。
【黒色】モダンでスタイリッシュ、大人のみをターゲットとしたクリニックに
黒は重厚感と洗練された印象を与える色で、美容外科や自由診療クリニックなど、「特別感」を打ち出したい施設に向いています。
「医療機関であること」を意識させず、高級ホテルに来たときのような感覚を抱かせることができるのが、黒色の持つ魅力です。特に白との組み合わせは、「モダン」かつ「プライベート感」を演出できるため、他の医療機関との差別化を図るうえで効果的です。また、羞恥心の軽減やプライバシーへの配慮が求められる診療科では、黒を基調とした内装が落ち着きをもたらします。
一方で、黒は空間を狭く感じさせたり、暗く沈んだ印象を与えたりすることもあるため、アクセント使いや照明とのバランス調整が重要です。
「色」で、クリニックの印象は変わる
今回は代表的な7つの色を取り上げてきましたが、ほかにも、上品さと強い個性を感じさせる紫色や、かわいらしさを全面に押し出せるピンク色、高級感とポップさをあわせて見せられる黄色など、さまざまな色があります。同じつくりのクリニックであっても、メインとなる色を変えるだけでクリニックの雰囲気は大きく変わります。
クリニックの内装設計において、色彩は単なる「見た目」の問題ではなく、患者様の安心・満足・再訪意欲に直結する重要な要素です。
「このクリニック、なんとなく居心地がよかった」「またここに来たい」と感じてもらえる空間づくりのためには、医療の質や接遇だけでなく、内装デザインの配色にもこだわる価値があります。
フルサポクリニックでは、先生方の診療方針やターゲット患者層を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な色彩計画・内装提案を行っています。
診療科にあわせた最適なプランをご提案しますので、クリニックの内装をご検討の際には是非ご相談ください。
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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