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整形外科医院ではどんな内装がベスト?整形外科ならではのポイントとは

整形外科の内装

一口に「クリニックの内装」といっても、求められる内装のデザインはそれぞれの科によって異なります。

今回は「整形外科」を取り上げ、その内装のポイントについて解説していきます。

整形外科の内装のポイントは「待合室」にもあり

待合室整形外科の内装を考えるうえで非常に大切なキーワードとなるのが、「待合室」です。

整形外科は、骨や筋肉などにけがを負った人が多く来る科です。そのため、その人たちが痛みやストレスなく過ごせる待合室を作らなければなりません。

いすの高さに工夫しよう

整形外科の内装を考えるときには、まず「いす」を考えましょう。

一般的なクリニックのいすの高さは、おおよそ38センチ程度です。ただこれは、膝に痛みを感じる患者様にとっては、座るときに痛みが走る可能性がある高さだといえます。

そのため、いすの高さは45センチ前後にして、膝に負担がかからないようにするとよいでしょう。

また、スペースの問題はあるかと思われますが、ひじ掛けがあるいすならば、さらに立ち上がりやすくなります。

なお、バリアフリーといえば「段差がないこと」をイメージする人もいるかもしれません。しかし実際には立ち上がるときなどに適度な段差があった方が動きやすい場合もあるため、こちらも意識して内装デザインを考えることが必要です。

手すりは必須、「必要となる廊下の幅」を意識する

クリニック・病院はバリアフリーであることを前提としていますが、整形外科の場合は特に重要視されます。例えば、壁に手すりをつけて歩きやすい壁面にするなどの工夫をするのがおすすめです。

ただこれは、「とにかく手すりをつければ良い」ということではありません。手すりをつけるとそれだけ廊下の幅は狭くなります。そのため、「手すりをつけても、十分な廊下の幅を確保すること」を意識する必要があります。

また、整形外科には下記のような4パターンの人がよく訪れます。それぞれに必要な廊下の幅は、下記の通りです。

補助具なし 60センチ~
一本杖70センチ~90センチ

日本杖90センチ~120センチ

歩行車 大きさによって異なる。廊下の「幅」は60センチだが、

前後方向に100センチの確保が必要

車いす 90センチ~、前後方向に95センチ~が必要

またこれは、あくまで「単身で歩くときに必要となる廊下の幅」です。たとえば「車いすと、補助具なしの人がすれ違える廊下の幅」を確保しようとすれば150センチ程度が必要ですし、車いす同士がすれ違うためには180センチ程度の広さが必要です。

加えてこれは最低限の基準であるため、スムーズな移動を可能にしようとすれば、さらに広く廊下をとる必要があるでしょう。手すりを設置する場合はおおよそ15センチ程度の幅が必要ですから、これを合わせて考えることが重要です。

出典:石川県「バリアフリーデザインの基本理念と理想的な設計」内「3移動機器と空間寸法」

国土交通省「第3章 基本寸法」

可能ならリハビリ用の待合室と、診察用の待合室を分ける

整形外科では、診察はもちろん、リハビリをすることもよくあります。

もし可能であれば、診察を待つ人のための待合室と、リハビリを待つ人の待合室を分けた方がよいでしょう。こうすることでより動きやすくなり、スムーズに診察・リハビリを行うことができるようになります。

もっとも、診察もリハビリ室も、そして整形外科に求められるレントゲン室や処置室も確保しなければならないなかで、待合室を2つ別に作ることには、敷地面積や費用面でなかなか難しいケースもあるでしょう。そのような場合は、1つにまとめてしまってもかまいません。

逆に「まだ十分に土地に余裕があって、来る人もご高齢の方が多く、コミュニティスペースとしての性格も持ちそうだ」という場合は、団らんスペースなどを待合室に設けるのもよいものです。

それ以外のポイントも把握しておきたい

リハビリスペース

上では「待合室」に注目してその作り方を紹介してきましたが、ここからはそれ以外の部分についても解説していきます。

トイレや受付は広めにとるのがベスト

トイレや受付は、広めにとるようにします。

現在はどこのクリニックでも車いすが入れるトイレを用意していますが、整形外科の場合はこれが特に重要になります。

便器のサイドには手すりをつけて、無理なく立ち上がれるようにします。

また、受付も広めにとるとよいでしょう。受付に関しては、「車いすを使っている人が、立ち上がらずとも会計を済ませられる高さ」にカウンター天板を調整します。

立って対応する人にとって支払いを済ませやすい天板の高さがおおよそ90センチ~100センチ程度で、車いすの人にとって都合が良いのは70センチ~80センチであるとされています。

このため、「カウンターの天板の高さを、半分は90センチ~100センチにして、残り半分を70センチ~80センチにする」というやり方をとってもよいでしょう。

出典:香川県「建築物に関する整備基準」内「カウンター及び記載台」

リハビリスペースにはロッカーを設置、着替えスペースも設ける

リハビリスペースには、ロッカーを設置します。貴重品を入れて管理できるようにするためのロッカーですが、着替えた服を片付けることもあるため、ある程度収容力のあるものにした方がよいでしょう。

服も貴重品も収納できる、背の高いロッカーなどが採用しやすいかもしれません。

なお、簡素なものであっても、カギのあるものを選びます。

また、リハビリスペースには更衣室も設けます。男女でしっかり区切るクリニックもありますが、簡素なカーテンで区切るタイプのクリニックもあります。

処置室には水回りおよび足の洗い場を設置すると便利

処置室には、水回りおよび足の洗い場を設置するとスタッフも動きやすくなります。

ギブスのなかには使う前に温めなければならないものもあるため、給湯施設を備えた水回りスペースを作っておくと便利です。

また、足を洗うためのスペースも作っておくと非常に便利です。普段はカウンターとして使えるタイプの足洗い場などだと、外見上もすっきりして見えます。

防音に気を付ける

整形外科では、「防音」にも気を配るとよいでしょう。

整形外科の場合、たとえばギブスカットなどで音が出ることがあります。この「音」は、処置を受けている患者様だけではなく、待っているほかの患者様のことも不安にしかねないものです。また、リハビリなどで声が出る人もいるでしょう。

「不安」は、処置に対する恐怖心を高め、処置を難しくしてしまうこともあります。そのため、診察室や処置室、リハビリ室には防音効果の高い壁材を採用するなどして、外に音や声がもれないようにします。

まとめ

求められる内装デザインは、科によって異なります。整形外科の場合は、特に「待合室」にこだわって内装を考えていく必要があるでしょう。

なぜなら整形外科には、補助具なしの人も、杖の人も、歩行車の人も、車いすの人も来る可能性が高いからです。移動しやすい廊下の幅を考え、いすの高さにもこだわりましょう。

トイレや受付は、どんな人でも立ち回りしやすいように、広くとることが推奨されます。またカウンターは、可能ならば2段階の高さで展開しましょう。

処置で水を使うことも多いので水場を設けたり、更衣スペースやロッカーを設置したり、防音に気を配った作りにすることも大切です。

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この記事の著者

フルサポクリニック

フルサポクリニック編集部

関西エリアでのクリニック実績多数!
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
当サイトではクリニックにまつわる設計や内装工事にまつわる記事を随時更新中

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