歯科医院の内装を考えるうえで気を付けたいポイント
一口に「クリニック」と言ってもその種類はさまざまです。そしてクリニックの種類が異なれば、求められる内装デザイン・内装の設備も変わってきます。
ここでは「歯科医院」を取り上げて、歯科医院の内装や設備について解説していきます。
歯科医院の内装を考えるうえで気にしたいポイント~プライベートスペースについて
歯科医院の内装を考えるうえで、非常に重要なのが、「プライベートスペースをどのようにして確保するか」という点です。
歯科医院は地域密着型の医療を提供することになるため、訪れる患者様もその地域に済んでいる人あるいはその地域で働いている人が中心となります。そのため、待合室や診療室などで知り合いとばったり会ってしまう可能性も高いといえます。
待合室であればそれほど問題にはなりませんが、診療室で、まったくの仕切りのない状態で知り合いに出会ってしまうとかなり気まずい思いをすることになります。歯科医院の場合口を大きく開けて治療することになるため、人に見られたくない顔になってしまうことが多いからです。また、治療内容によっては人に知られたくないと感じる人もいることでしょう。
このようなことから、歯科医院ではプライバシー性に配慮したプライベートスペースをしっかり確保する必要があります。
では、プライベートスペースを作るための仕切りはどのようなものを選べばいいのでしょうか。それぞれの特徴とともに紹介していきます。
1.壁
施工段階で、治療スペースに壁を作ってしまう方法がまず一つ目に挙げられます。完全に壁で仕切ることも可能ですが、半個室状態になるように扉をつけない壁で仕切る方法もあります。
壁で仕切る場合のもっとも大きなメリットは、「患者様のプライバシーに極限まで配慮できる」という点にあります。クリニックの運営方法によっては、ほかの患者様とまったく顔を合わせずに、治療を終えていただくことさえ可能です。
ただ壁で仕切る場合は、素材にもよるものの、比較的施工費用が高くなる可能性があります。
2.施工型パーテーション
パーテーションには、「施工型パーテーション」と呼ばれるものと、「ローパーテーション」と呼ばれるものがあります。
施工型パーテーションは、施工段階で天井や壁、床に取り付けるパーテーションのことをいいます。
「壁」と似たかたちをとりますが、この施工型パーテーションの場合は解体や再施工が行えるというメリットがあります。費用も「壁」に比べれば安く済みます。
また、ローパーテーション(後述します)に比べて声が響きにくいといった魅力があります。
ただ、「壁」に比べれば音は響きやすいものです。また、ローパーテーションほどは気軽に動かせません。
3.ローパーテーション
施工段階で入れるのではなく、後から取り入れるかたちが基本となるのが「ローパーテーション」です。
ローパーテーションは天井にも床にも壁にも接地していないため、気軽に動かすことができます。また、費用も安く、しかも「使いにくいな」と感じたらすぐにほかのものに切り替えられるというメリットもあります。
ただローパーテーションは施工型パーテーションに比べて音が響きやすく、プライバシー性が確保しにくいといったデメリットもあります。また、後からローパーテーションを入れる場合は、クリニックの診察室の雰囲気とマッチするものかどうかをきちんと考えなければなりません。
4.カーテン
壁や、施工型・ローパーテーションに比べるとあまり取り上げられることがありませんが、歯科医院の仕切りとしてカーテンを使うこともできます。このカーテンは蛇腹式のものもあれば、ロールカーテンの場合もあります。
カーテンで仕切る場合は、事前にカーテンレールやローカーテンを片付けるためのスペースを天井に確保しておく必要があります。さらに、カーテンを採用するときは、抗菌加工がされたものが望ましく、またお手入れも必要です。
ただカーテンの場合は、ほかの仕切りに比べて圧迫感が少なく、緊張感を出しにくいというメリットがあります。閉鎖的な印象にならないため、お子さんをよく診る歯科医院などではカーテンによる仕切りを考えてもよいでしょう。
5.ガラス
歯科医院の診察室の仕切りとして、ガラスを用いることもあります。
ガラスというと透明なイメージがありますが、完全に透明のものだと「プライバシー性を確保するための仕切り」として使うのは難しいといえます。そのため、天井近くおよび床近くは透明であっても、患者様の椅子の範囲は半透明のガラスになっているものを選ぶことになります。
ガラスは明るい陽光と非常に相性がよく、解放感を味わえる仕切りだといえます。窮屈な印象が解放されるため、小さめのクリニックなどとも相性がよいものです。すっきりとした印象に仕上げたいのであればこれがおすすめです。
半面、吸音性が低いため、音はやや響きやすくなります。また仕切りとして使われているガラスは、一般的なガラスに比べて強度は高いものの、それでもやはり衝撃に弱いというデメリットはあります。
仕切りとともに考えたい、「緊張感を和らげる作り」について
上で、「カーテンやガラスの仕切りは圧迫感や緊張感を抱かせにくい」としました。
「緊張感」というキーワードと、「歯科医院」というキーワードには深い関係があります。
小さなお子さんにとってはもちろん、大人でも歯科医院が恐いという人はそれほど珍しくありません。昔は今とは異なり歯科技術が未熟であったこともあり、「葉の治療で痛い思いをした」という人も多いのではないでしょうか。
そのため、歯科医院はまず、「来やすい雰囲気」「再来院しやすい雰囲気」にすることが重要です。明るく日の光が入る作りにしたり、自然素材を多く使ったりして、リラックスして治療が受けられるデザインにしましょう。
ただし、オフィス街にあり、勤め人を対象とする歯科医院の場合は、ある程度硬質なデザインでもかまいません。このときは、特に強く「清潔感」を意識して、すっきりとしたデザインにまとめるとよいでしょう。また、モダンで現代的でホテルのような内装にするのもひとつの選択肢です。
歯科医院の代名詞的に使われるものとして、「ドリル音」が挙げられます。ギュイーン、ゴリゴリと鳴り響く音は、歯科医院につきものの音だといえるでしょう。
ただこれらのドリル音は、待っている人に恐怖感と不安感を与えるものです。特に小児を対象とすることの多い歯科医院の場合、この音だけで泣き出してしまうお子さんもいるかもしれません。
そのため、歯科医院では「防音」「吸音」にしっかり気を配ることが大切です。プライバシー性を確保するための仕切りは、防音・吸音の役目も担うものですが、「診療室から待合室に響くであろう音」にもしっかり気を使わなければなりません。防音クロスなどを使い、対策していきましょう。
私たちフルサポクリニックでは、歯科医院様の内装工事も手掛けています。「どのような仕切りを選べばよいか分からない」「緊張感を与えないような間取りはどんなものか」「とにかく音が響くのをどうにかしたい」などのように、分からないことは何でもご増段ください。クリニックの施工を専門とするフルサポクリニックが、先生の理想とする、そして患者様にとって通いやすい歯科医院の内装を一緒に考えていきます。
この記事の著者
フルサポクリニック編集部
医療、介護施設の設計施工を得意とする「FULLsupport」が運営。
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