歯科医院が抑えておくべき内装のポイントを解説
歯科医院の内装を考える際には、他の診療科クリニックとは異なるポイントを抑えておくことが重要です。
患者さんがまた訪れたいと感じる歯科医院は、医師の技術はもちろん「安心できる内装デザイン」も決め手となります。
そこで今回の記事では、歯科医院の内装デザインの特徴と最新のトレンドについて、わかりやすく解説していきます。
目次
歯科医院ならではの設計の特徴とは
歯科医院では、他の診療科目クリニックとは違った設備が必要になります。歯科医院の設計にはどのような特徴があるのか、具体的に見ていきましょう。
診察台や治療機器が多い
歯科医院での診療や治療は、チェアータイプの診察台で行われます。診察室に複数の患者さんが入り、パーティションで診察台の間を区切ってプライバシーを確保するタイプが一般的です。
そのため、医師だけではなく、歯科衛生士をはじめとしたスタッフが、移動や治療をしやすいレイアウトの工夫が必要です。
人の動線は重要ですが、必要な器具をすぐに手に取ることができ、使用した器具は消毒へといった「ものの動線」にも配慮しましょう。
スムーズな診療につながる内装設計は、患者さんの不安を取り除き、信頼を得ることへつながります。
歯科医院の診察室では、的確なレイアウトと動線確保への配慮が他の診療科以上に大切だといえるでしょう。
歯科ならではの動線タイプ
歯科医院の導線で主流となっているのは、セミオープンタイプまたは動線分離タイプになります。
以前はオープンタイプもありましたが、患者さんのプライバシーを確保する点から新規開院にはおすすめできません。
歯科医院の立地条件やターゲット層に応じて、いずれの動線タイプにするかを決めるのがおすすめです。
たとえば、高齢の患者さんが多い場合は、スタッフも患者さんの様子を見守りやすいセミオープンタイプを選択しましょう。
医院の面積にゆとりがある場合には、診察室やそれぞれの動線を広めにした設計が可能です。患者さんとスタッフの動線を切り離すことで、治療に専念しやすく安全性が高い、動線分離タイプも候補となってきます。
仰向けでの診察への対応
歯科医院での診察や治療は、仰向けで行われます。患者さん、医師、スタッフが快適に感じられる照明設計が非常に重要です。
仰向けになった患者さんに直接照明が当たると、不快感や物の見えづらさを感じる「グレア」という現象が生じやすく、診察や治療中の居心地を悪くする原因となります。
治療のために必要な照度を確保しつつ、患者さんへ照明が直接当たらないような配慮が必要です。
ダウンライトやブラケットライトをはじめとした間接照明や、建物の一部に照明器具を埋め込む建築化照明などを複数組み合わせて、リラックスできる診察台付近の照明計画を行いましょう。
歯科医院内装デザインのトレンド
歯科医院ならではの内装を考える注意点を抑えたところで、最新の内装デザインのトレンドをご紹介していきましょう。
また来たくなるような歯科医院のデザインとは、どのようなアイデアがあるのでしょうか。
来院者の印象に残るデザイン
歯科医院の内装デザインといえば白くて清潔感を感じるものというのは、最近は当てはまらなくなってきました。
新しく開院した歯科クリニックでは、おしゃれな外観やぬくもりを感じさせる内装が好まれる傾向にあります。
歯科治療は一般的に他の診療科と比較すると、受診前の不安が大きいです。患者さんが親しみやすい外観と同時に、穏やかさを感じる自然素材を内装の建材に取り入れるなど、質の良いインテリアとコーディネートされた内装に注目が集まっています。
このような内装デザインの歯科医院では、スタッフもよりゆったりとした気持ちで患者さんへ対応できます。そのため、見た目以上の効果があるといえるでしょう。
患者様の不安を取り除く居心地の良さ
歯科医院へは、痛みや不安を抱えた患者さんが来院されます。治療が始まるまでの時間は誰でも不安なものです。
清潔感がある真っ白な待合室では、患者さんがリラックスすることは難しいかもしれません。そのため、最近はアースカラーと呼ばれる、土や木などの自然を連想させる色を多く取り入れたデザインが人気です。
手入れしやすい大型の観葉植物も、フェイクグリーンではなく生き生きとした本物を取り入れましょう。
また、診療ユニット向けにもさまざまな素材が開発されています。歯科治療は長時間にわたることもあるため、長く横になっていても患者さんに負担がないことが求められています。
プライバシーに配慮したレイアウト
歯科医院の動線タイプには大きく分けて、セミオープンタイプと動線分離タイプがあります。
狭小な敷地では動線分離タイプを選択すると、診療ユニット周りが狭くなりがちです。医師やスタッフが治療しづらくなったり、患者さんに圧迫感を感じさせたりする原因となってしまいます。
その場合は、セミオープンタイプに加えて個室を設置するのがおすすめです。不安が大きい患者さんや小さなお子さんも、個室があれば安心して治療を受けられます。
また、敷地に余裕がある場合には、動線分離タイプがおすすめです。患者さんとスタッフの動線が交わらないため、忙しいときでもスムーズかつ安全な移動が可能です。
メインターゲットに合わせた工夫
もっとも大切なのは、歯科医院を訪れるメインターゲットに合わせた内装デザインを心がけることです。
歯科といっても一般歯科、矯正歯科、小児歯科、審美歯科などさまざまです。開業時のコンセプトとして考えている患者さんを再確認して、内装のデザインへ反映させていきましょう。
患者さんに靴を脱いでもらうか、靴のまま入ってもらうかは、メインターゲットによって異なります。
住宅街での開院であれば、高齢者の患者さんがたくさん来院される可能性があります。高齢者にとって靴を脱ぐのは手間に感じられるでしょう。
院内の移動が楽にできるように、握りやすい手すりの設置や車椅子の移動も考慮した通路幅が必要です。また、付き添いの人も一緒に入れるトイレがあると便利です。
子どもたちが来院する小児歯科には、キッズコーナーが欠かせません。畳敷きのスペースを設けるなど、付き添う家族にも配慮した設計が必要です。授乳室やおむつを替えられるスペースは必ず設けるようにしましょう。
さらに、都市部のおしゃれな審美歯科では、ラグジュアリーな内装デザインが人気です。ホテルライクな高級感あふれる待合室にすることで、継続する患者さんが増える例も見られます。
徹底した感染対策
新型コロナウイルスの流行によって、感染対策の重要性が高まっています。歯科ではさまざまな器具を用いて治療するため、診察室内の感染対策は万全に行われてきました。
加えて必要となっているのが、待合室や受付カウンターでの感染対策です。内装に使用する建材やクロスも、抗菌作用のあるものが採用される傾向が強くなっています。
受付カウンターや待合室のインテリアは、こまめな消毒に耐えられる素材を選ぶようにしましょう。
まとめ
歯科医院の開業を考えるときにはさまざまな悩みがつきないものです。歯科医院の内装はどのようなポイントを抑えればいいか、また最近の内装デザインのトレンド傾向について解説してきました。
歯科へ通う患者さんには、痛みや不安を抱えている人がたくさんいらっしゃいます。親しみやすさ、穏やかさが、最新の歯科医院の内装を考えるうえでのポイントとなっています。
この記事を参考にして、患者さんが来院しやすく、スタッフと医師が働きやすい歯科医院を目指してください。
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この記事の著者
フルサポクリニック編集部
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